HACCPとは?介護施設側から見る導入メリットについて解説!

公開日:2022/06/01  最終更新日:2022/10/11

高齢化社会が進む日本。それにともない、年々介護施設が増えています。そこで問題となっているのが、介護施設で提供される食事による集団食中毒です。介護施設での集団食中毒は大きな社会問題となり、現在HACCPというものが義務化されています。

この記事では、HACCPとはどのようなものなのか、そして介護施設にHACCPを導入するメリットをご紹介します。

HACCPとは?

HACCPとは、Hazard(危害)、Analysis(分析)、Critical(重要)、Control(管理)、Point(点)の頭文字をとってできた造語で、アメリカのアポロ計画で宇宙食の安全性を確保するために考えられた衛生管理手法です。現在では、国際的な衛生管理手法となっています。

そして日本では、食品衛生法の改正に伴い、20206月より、食品を取り扱うすべての事業者がHACCPを導入することが義務付けられています。では、このHACCPではどのように衛生管理がされるのか、詳しく見ていきましょう。

危害要因分析(Hazard,Analysis

まずは、HACCPHAが表している危害要因分析です。危害要因分析では、有害な微生物や化学物質、異物が、原材料由来や製造過程で食品に混入、繁殖し、さらにそれが原因で発生する可能性がある人体への危害を予測します。

そしてその分析結果をもとに、食品を管理する方法を明確化、ルール化します。

重要管理点(Critical,Control,Point

次に、HACCPCCPが表している重要管理点です。重要管理点では危害要因分析に基づいて、食品中にある危害要因に対し、人体の健康を損なわない程度までに減少や除去をするための製造・加工工程を管理します。

具体的には、加熱方法や冷却方法、包装方法の時間管理、温度管理などが挙げられます。

HACCPは工程ごとにリスク管理をすること

ここまで述べてきたように、HACCPという衛生管理手法では、食品の製造工程を細分化し、それぞれの工程ごとにリスク管理をします。工程ごとに管理することで、食中毒などを引き起こす可能性がある商品に気づき、出荷を止めることができます。

また、万が一食中毒などの食品事故が発生した場合でも、どの工程が原因かを突き止めることができるのです。

介護施設がHACCPを導入するメリット

HACCPが義務化された背景として大きいのが、高齢化社会にともなう介護施設の増加です。食中毒は、健康で若い人でもなることのあるものですが、やはり高齢者の方が食中毒を引き起こすと、重症化するリスクが高くなってしまいます。

そのため、ほとんどの介護施設では、HACCPの導入が義務化される前から食品の衛生管理には細心の注意を払ってきたことでしょう。では、既に徹底した衛生管理をしている介護施設がこれから新たにHACCPを導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

それは「衛生管理の可視化」です。もちろん、HACCPの衛生管理手法に従って衛生管理をすることで、より食中毒などの事故を防ぐことができます。

それを前提としたうえでさらにプラスになるのが、HACCPを導入することで、実践した衛生管理が記録されることです。衛生管理が記録されると、だれがいつどんな作業を行ったのかがわかるほか、万が一何か問題が発生したときに対処がしやすくなります。

そして、衛生管理が可視化されていることで、介護施設の利用者やそのご家族の方にも安心感を与えることができる点も大きなメリットです。

介護施設がHACCPを導入するためには?

実際にHACCPを介護施設に導入したい場合は、具体的にどのようなことを実践していけばよいのでしょうか?

HACCPの国際基準に沿った食事作りをする

普段の食事作りを、HACCPの国際基準に沿った形で行いましょう。

食材の搬入時、調理時、配膳時など、食材を仕入れてから食事を提供するまでの工程を細分化し、それぞれの工程で、食中毒菌の汚染や異物混入のリスクがないかを確認してください。

衛生管理計画を策定・確認・記録をする

HACCP導入の義務化にともない、すべての介護施設に義務付けられているのが、衛生管理計画の策定です。衛生管理計画では、衛生管理をいつ、どんな形で行い、問題があったときにはどのように対処するのかを記したものです。

日々の衛生管理の中で、衛生管理計画通りに実施できているか、確認や記録をきちんと行いましょう。

危害要因の分析と重要管理点の監視・記録をする

HACCPの大きな特徴である危害要因の分析と、重要管理点の監視、記録をしましょう。

具体的には、食材を仕入れ、調理をし、利用者に食事を提供するまでの工程の中で、どこに危害要因があるかを分析し、さらにその危害要因が発生しないようにどんなことを注意すればいいのか、重要管理点を継続的に監視して、衛生管理計画に記録してきましょう。

 

衛生管理手法のHACCPについてと、介護施設にHACCPを導入するメリットをご紹介しました。HACCPは、食品の工程ごとにリスク管理をし、トラブルや食品事故が起きた際にすぐに原因を究明できる、画期的な衛生管理手法です。

高齢化社会が進む日本において、高齢者の方を食品事故から守るために、HACCPの導入は必須といえます。HACCPに沿った食事作りと衛生管理で、介護施設の利用者様に安心安全で美味しい食事を提供しましょう。

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